M&A成立後の統合プロセス(PMI)を成功に導くためには、自社の状況に合った支援パートナーの選定が不可欠です。しかし、PMI支援を提供する企業は多岐にわたり、「どこに頼めばよいのか分からない」という声も少なくありません。本記事では、PMIコンサルティング会社・支援会社を9つのカテゴリに整理し、各社の特徴を網羅的にご紹介します。
目次
1. Big4 FAS(財務アドバイザリー)
グローバル4大会計系ファームのFAS部門は、PMI支援の最大手です。大規模クロスボーダー案件や上場企業同士の統合に強みを持ちます。
- PwCアドバイザリー ── グローバルネットワークの規模と質はBig4最強。DD(デューデリジェンス)からDay1対応、シナジー実現まで一気通貫で支援する。特にクロスボーダーPMIで海外拠点との連携が必要な大型案件に強みを発揮。ディール戦略立案からM&A、事業再生まで幅広い領域のアドバイザリーを提供しており、PMI以外の社内キャリアパスも豊富。
- デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー ── 取引金額ベースでBig4 FAS実績トップ。案件数がもっとも多く、国内M&AからクロスボーダーまでPMI支援の幅が広い。業界別の専門チームを有し、セクター知見に基づく統合支援が特徴。ポテンシャル採用枠もあり、PMI未経験からでも参画可能な門戸の広さがある。
- KPMG FAS ── PMI専門チームを独立した組織として最も明確に位置づけているのがKPMG FAS。財務・税務の高い専門性を基盤に、統合戦略の立案からDay1準備、シナジー実現のモニタリング、事業売却(カーブアウト)における分離計画の策定まで幅広く対応。クロスボーダー案件比率が高く、グローバルメソドロジーへのアクセスが強み。
- EYストラテジー・アンド・コンサルティング ── EYパルテノンのTransaction Strategy & Execution部門。「人」を起点としたPMIアプローチに定評があり、組織文化統合やチェンジマネジメントの知見が厚い。M&A(投資・買収・売却)や組織再編において、経営統合やカーブアウトの戦略策定からエグゼキューションまでを手がける。
2. 総合コンサルティングファーム
幅広い業務領域とIT実装力を兼ね備え、戦略策定から現場実行まで対応可能な総合ファームです。
- アビームコンサルティング ── 売上高1,408億円、従業員8,278名の日系最大級のコンサルティングファーム。SAP導入と連動したIT統合PMIの実績が豊富で、日系企業の海外M&A後のPMI支援を得意とする。M&A戦略立案からトランザクション実行・PMI・Transformationまで一気通貫で支援できる体制を持つ。
- アクセンチュア ── テクノロジー基盤のPMI支援に圧倒的な強みを持ち、システム統合からDX推進まで大規模プロジェクトを一括対応。クライアントワークだけでなく、アクセンチュア自身のM&A案件のPMI推進ポジションも存在する珍しいファーム。世界中のM&A/PMIエキスパートと協業できるグローバル基盤がある。
- ボストン コンサルティング グループ(BCG) ── 統合戦略の策定やシナジー目標設計など経営レベルの意思決定支援に特化。PMIの上流工程に関与し、経営チームへの助言や統合の優先順位設計を主な役割とする。大型のクロスボーダー案件や業界再編案件での実績が厚い。
- 日本総合研究所 ── SMBCグループのシンクタンク・コンサルティング機能を担う。金融業界のM&A後統合や地域金融機関の経営統合支援に豊富な実績がある。グループの金融知見を活かし、規制対応を含む統合計画策定に強みを持つ。
3. PMI専門コンサルティングファーム
PMI支援に特化し、ハンズオンでの統合推進を得意とするファームです。中堅・中小企業の案件に対応するところが多いのが特徴です。
- 日本PMIコンサルティング ── 国内PMI専門ファームの先駆け。100日プラン策定から組織統合、業務標準化まで現場密着型の支援を提供する。M&A成立直後の「Day1対応」から中長期の統合完了まで伴走するスタイルが特徴で、製造業・サービス業を中心に幅広い業種での支援実績を持つ。
- MAVIS PARTNERS ── 戦略コンサル出身者が創業したM&A戦略からPMI実行まで一貫支援するファーム。バリューアップに重点を置き、買収効果の最大化を目的とした統合施策の設計・実行を得意とする。少数精鋭で経営層と直接対話しながらプロジェクトを推進する。
- レヴィング・パートナー ── 中堅企業のPMIに特化し、経営者に寄り添った伴走型支援を強みとする。組織文化の融合施策に定評があり、買収先の従業員エンゲージメント維持やリテンション施策の設計に注力。オーナー企業特有の意思決定構造を理解した上でのPMI推進が支持されている。
- M&A PMI AGENT ── M&A成約後のPMI支援に特化したファーム。現場オペレーションの統合や従業員コミュニケーション施策を中心に支援し、統合初期の混乱を最小限に抑えるアプローチをとる。中小企業から中堅企業のM&A後統合を多く手がける。
- 日本PMIサポート協会 ── PMI支援者の育成・ネットワーク構築を行う業界団体。会員企業への情報提供やPMIプロフェッショナルの紹介機能を有し、PMI支援の品質基準づくりや実務者コミュニティの運営にも取り組む。PMI支援会社を探す際の相談窓口としても活用できる。
4. M&A仲介会社のPMI支援部門
M&Aの成約支援を本業としながら、クライアント満足度向上を目的にPMIサービスを拡充する仲介会社です。
- 日本M&Aセンター ── M&A仲介最大手(成約実績1,700件超)。PMI専門チームを設置し、成約後100日間の統合初期フェーズを重点的に支援する。財務面・内部統制・人事制度などのハード面の融合だけでなく、経営管理や組織再編、従業員コミュニケーションなどソフト面のサポートも担う。仲介で蓄積した数千件のM&Aデータを活用したPMI知見が独自の強み。
- ストライク ── 11期連続増収の東証プライム上場M&A仲介企業。ネット型M&Aマッチングの先駆者で、2024年にFAS部門を新設しPMI領域に本格参入。M&A戦略の策定から実行、PMIまでの全ステージで支援可能な体制を構築中。デジタル活用と若手への裁量付与が社風。
- fundbook ── テクノロジー活用型のM&Aプラットフォーム。PMI支援ではデータに基づく統合進捗管理ツールの提供が特徴で、定量的なモニタリングによる統合品質の可視化に取り組む。スタートアップやIT企業のM&A後統合に知見を持つ。
- インテグループ ── 完全成功報酬制のM&A仲介会社。中堅・中小企業のM&Aを主軸とし、成約後もPMI初期段階でのアドバイザリーサービスを提供。着手金・中間金不要の料金体系で、M&Aからシームレスに統合支援へ移行できる。
- バトンズ ── 小規模M&A・事業承継に特化したマッチングプラットフォーム(日本M&Aセンターグループ)。累計成約数は国内最大級。成約後の引き継ぎ支援や経営安定化サポートメニューを整備しており、個人事業主や小規模法人のM&A後の統合にも対応する。
5. 独立系FAS(ファイナンシャルアドバイザリー)
Big4に属さない独立系のFASファーム。特定の業界や案件規模に強みを持ち、機動的な対応が可能です。
- フロンティア・マネジメント ── 経営コンサルティングと投資銀行業務を両軸とする独立系FAS。PMI領域では特に業績が悪化した買収先企業の立て直しを含む「再生型PMI」に強みを持つ。Big4とは異なり少数精鋭の組織のため、若手でも早い段階から案件の中核を担う機会が得られる。事業再生のノウハウとM&Aの実行力を掛け合わせた独自のポジショニングが魅力。
- フーリハン・ローキー(旧GCA) ── グローバルM&Aアドバイザリーの独立系大手。2021年にGCAがフーリハン・ローキーと経営統合し、世界最大級の独立系投資銀行の一翼を担う。クロスボーダー案件のPMI戦略立案に強みを持ち、欧米・アジアにまたがる統合プロジェクトの実績が豊富。
- 太陽グラントソントン ── 中堅企業向けのDD・PMI支援に注力する世界6位の会計ネットワークの日本メンバーファーム。会計・税務の高い専門性を活かした経営管理体制の構築が得意で、IT環境診断からシステム統合ロードマップの策定まで、バックオフィス統合を包括的に支援する。
- 山田コンサルティンググループ ── 事業承継・中堅企業M&Aの支援実績が業界トップクラス。東証プライム上場の独立系コンサルティングファームで、PMIでは経営計画策定、人事制度統合、ガバナンス体制構築を中心に支援。全国に拠点を持ち、地方企業のM&A後統合にも対応できるカバレッジの広さが強み。
- AGSコンサルティング ── 会計事務所グループならではの実務力でPMI後の経理業務統合やバックオフィス整備を得意とする。決算早期化、管理会計の統一、内部統制の構築など、地味だが統合成否を左右する管理基盤の整備に強い。中堅・中小企業の案件を多く手がける。
6. 人事・組織PMI専門
M&A後の組織統合・人事制度統合に特化したコンサルティングファームです。統合後の人材流出防止やエンゲージメント維持が重要テーマとなる場面で力を発揮します。
- マーサージャパン ── グローバル人事コンサルの最大手(マーシュ・マクレナングループ)。報酬制度・等級制度の統合設計、リテンション施策立案に圧倒的な実績を持つ。M&A後の人事デューデリジェンスから統合後の組織設計、役員報酬の再設計まで、人的資本領域を網羅的にカバー。グローバル案件ではワールドワイドのデータベースを活用したベンチマーキングが強み。
- セレブレイン ── 人事制度設計とHRテクノロジーの両軸でPMI支援を行うHRコンサルティングファーム。統合後の人事データ基盤構築にも対応し、制度統合と同時にシステム面の整備も一括で推進できる。評価制度や等級制度の統一設計に加え、統合後の組織風土調査やエンゲージメントサーベイの実施も得意とする。
- WTW(ウイリス・タワーズワトソン) ── M&Aに伴う人事デューデリジェンスからPMI後の組織設計まで一貫して支援する世界的なアドバイザリーファーム。特に福利厚生・年金制度の統合設計やリスク評価に強みを持ち、大型クロスボーダー案件で買収先の人件費・退職給付債務の精査とPMI設計を同時に行える数少ないファーム。
7. IT統合PMI
M&A後のシステム統合・ITインフラ統合に特化した支援を提供するファームです。基幹システムの統合はPMIの中でも最もコストと時間を要する領域であり、専門家の関与が不可欠です。
- 太陽グラントソントン(IT統合チーム) ── 中堅企業のIT環境診断からシステム統合ロードマップ策定まで対応。ERP統合の実績が豊富で、統合対象のIT資産の棚卸しから、統合後のシステムアーキテクチャ設計、移行スケジュールの策定まで包括的に支援する。
- アビームコンサルティング ── SAP・Oracle等の主要ERPの統合案件に圧倒的な強みを持つ。IT PMOとしてプロジェクト全体を推進する機能も提供し、業務プロセスの標準化とシステム統合を同時に実現する。日系企業の海外拠点を含むグローバルITガバナンスの構築実績も多い。
- アクセンチュア ── クラウド移行を含む大規模IT統合を得意とし、レガシーシステムのモダナイゼーションとPMIを同時に推進。M&Aを機にクラウドネイティブなIT基盤へ刷新するアプローチを提案できるのは、テクノロジー実装力を自社内に持つアクセンチュアならでは。
8. 中小企業向けPMI支援
事業承継型M&Aの増加に伴い、中小企業に特化したPMI支援の需要が急拡大しています。比較的リーズナブルな費用で、実務に即した支援を提供する機関・企業が中心です。
- タナベコンサルティンググループ ── 中堅・中小企業向け経営コンサルティングの老舗(創業1957年、東証プライム上場)。事業承継型M&A後の統合において、組織文化の融合や経営管理体制の構築をハンズオンで支援する。オーナー企業のPMIは大企業とは異なる人間関係や意思決定の特殊性があり、同社はその領域で独自のノウハウを蓄積している。全国拠点網を活かした地方企業への対応力も強み。
- Pro-D-use ── 中小企業の事業成長支援に特化したコンサルティングファーム。PMIでは営業組織の統合や収益改善に重点を置いた実行支援を提供し、戦略を描くだけでなく現場で成果が出るまで伴走するスタイル。経営者の右腕として、売上拡大とオペレーション改善を同時に推進する。
- 名南経営コンサルティング ── 東海地方を拠点とする総合コンサルグループ(税理士法人・社労士法人を含むワンストップ体制)。事業承継後のPMI支援やオーナーチェンジ対応に強みを持ち、税務・労務・法務を横断した統合支援を一括で提供できる。中部圏の中小企業M&Aでは高い知名度を誇る。
- 中小PMI支援センター ── 中小企業のPMI支援に特化した専門機関。実務的なPMI計画策定支援やモニタリングサービスを提供し、事業承継型M&Aの統合初期フェーズをハンズオンで支援する。大手ファームに比べてリーズナブルな費用で、中小企業が手を出しやすい料金設計が特徴。
- 東京都中小企業振興公社 ── 公的機関として事業承継・M&A後の経営安定化支援を実施。専門家派遣制度を活用した低コストでのPMI相談が可能で、初回相談無料のメニューも用意されている。民間コンサルに依頼する前の「まず相談したい」ニーズに対応する入口として有用。
9. PE/ファンド系PMI支援
プライベートエクイティ(PE)ファンドの投資先に対するバリューアップの一環としてPMI支援を行う機関です。投資リターンの最大化を目的とした実行力の高い支援が特徴です。
- 日本PMIパートナーズ ── PEファンド投資先のPMI・バリューアップに特化したファーム。経営人材の派遣とハンズオンでの経営改善を一体で提供し、投資先企業のCFOや管理部門長として常駐するケースもある。ファンドの投資リターン最大化を目的とした、成果にコミットする支援スタイルが特徴。
- PwC Value Creation ── PwCグループのバリュークリエーション専門チーム。ファンド投資先の企業価値向上をKPI管理とオペレーション改善の両面から支援する。PwCのグローバルネットワークを活かしたベンチマーキングや、ディールチームとの連携によるDD段階からのバリューアップ仮説構築が強み。
PMI支援の費用相場
PMI支援の費用は、支援範囲・期間・対象企業の規模によって大きく異なります。以下は一般的な目安です。
| 支援カテゴリ | 費用目安(月額) | プロジェクト総額の目安 |
|---|---|---|
| Big4 FAS・総合コンサル | 300万〜800万円 | 1,000万〜2,000万円以上 |
| 独立系FAS・PMI専門ファーム | 150万〜400万円 | 500万〜1,500万円 |
| 中小企業向け支援 | 30万〜150万円 | 100万〜500万円 |
| 人事・IT特化型 | 200万〜500万円 | 500万〜2,000万円 |
一般的に、PMIコンサルティングの費用相場は100万円〜2,000万円の範囲に収まることが多く、中小企業の事業承継型M&Aであれば数百万円、大企業のクロスボーダー案件では数千万円規模になるケースもあります。
PMI支援会社を選ぶ3つのポイント
多くの選択肢がある中で、自社に合ったPMI支援パートナーを選定するための重要なポイントを3つご紹介します。
- 自社の規模・案件特性との適合性 ── 大企業のクロスボーダー案件にはBig4 FASや総合コンサル、中小企業の事業承継案件には専門ファームや中小企業向け支援機関が適しています。規模感のミスマッチは、費用対効果の低下を招きます。
- 支援範囲とハンズオン度合い ── 戦略策定のみの助言型支援なのか、現場に入り込んで実行まで伴走するハンズオン型なのかを確認しましょう。自社のリソース状況に応じて、必要な支援レベルを見極めることが重要です。
- 類似案件の実績と専門性 ── 同業界・同規模の案件実績があるかどうかは、支援品質を左右する大きな要素です。特にIT統合や人事制度統合など専門領域では、当該分野の深い知見を持つファームを選ぶことが成功確率を高めます。
まとめ
PMI支援を行う会社は、Big4 FASから中小企業向けの公的機関まで多岐にわたります。重要なのは、案件の規模や統合の複雑さ、自社のリソース状況に応じて最適なパートナーを選定することです。費用の高低だけでなく、支援会社の得意領域や過去の実績、担当コンサルタントとの相性も含めて総合的に判断しましょう。
PMI Labでは、個別のファームに関する詳細な情報や、PMI支援の成功事例も随時発信していきます。PMI支援会社の選定にお悩みの方は、ぜひ他の記事もご参照ください。
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